入れ歯が合わないせいで食事しづらいときに行う調整と食べ方の工夫|柴垣歯科医院|綾瀬市エリアの歯医者

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入れ歯が合わないせいで食事しづらいときに行う調整と食べ方の工夫

入れ歯が合わないせいで食事しづらいときに行う調整と食べ方の工夫

食べにくさは「慣れ」だけの問題とは限りません


入れ歯が合わず食事しづらいときは、我慢を続けるより、歯科医院で当たり方や噛み合わせを確かめてもらうことを先にしましょう。調整で様子を見るか、修理や作り直しを検討するかは、診察で判断されます。


この記事では、次のことをまとめました。合わなくなるわけ、「慣らして」と言われたあとにもう一度相談する目安、受診までに家族と同じ料理を食べやすくする切り方や噛み方、予約のときに伝えたいこと、費用と通う回数の確かめ方です。


この記事の要点まとめ


  • ずれや痛みには、歯ぐきや支えている歯、噛み合わせの変わり方も関わるため、歯科医院でみてもらいましょう。
  • 調整・修理・作り直しは診察で判断され、食事は小さく切る、やわらかくするなどの工夫ができます。
  • 予約時に症状や食べにくい料理を伝え、入れ歯を持参して費用と通院回数を尋ねましょう。

目次



入れ歯が合わず食事しづらいのは、なぜ起こる?


食べにくさは、入れ歯そのものだけでなく、歯ぐきや顎の形の変化、部分入れ歯を支える歯の変化、噛み合わせのずれなどが重なって生じます。入れ歯をしているのに食べると痛いのは、入れ歯の一部が歯ぐきに強く当たったり、噛むたびに入れ歯が動いて粘膜をこすったりするためです。


歯ぐきや顎の形が変わり、入れ歯との間にすき間ができる


歯を失ったあとの歯ぐきや顎の骨は、時間をかけて少しずつやせていきます。一方、入れ歯の内側は作ったときの形のままです。数年たつと両者の間にすき間ができ、噛むたびに入れ歯が沈んだり浮いたりします。


すき間があると、噛む力が一部に集中します。その部分の歯ぐきに傷や口内炎ができ、食事中の痛みにつながります。作った当初は使えていた入れ歯が最近ずれるようになった場合、こうした変化が背景にあると考えられます。


部分入れ歯は、支えている歯や噛み合わせの変化でもずれる


部分入れ歯は、残っている歯にバネ(金属の留め具)をかけて固定します。バネをかけた歯がぐらついたり、むし歯や歯周病で形が変わったりすると、入れ歯全体が安定しにくくなります。


上下の噛み合わせの位置がずれたときも同じです。奥歯でしっかり噛み合わず、肉の繊維や葉物野菜が噛み切りにくくなります。


部分入れ歯を使うと、噛む働きによい変化がみられることが多い一方、調べ方や条件によって結果に差もあります1。入れ歯の出来だけでなく、それを支えるお口の状態が噛みやすさを左右します。


入れ歯だけでなく、残っている歯や噛み合わせも確認する理由


当院では、気になるところだけを治して終えるのではなく、お口全体をみて原因を見きわめる「包括的治療」を行っています。歯の根の治療(歯内療法)、歯周病の治療、インプラント、矯正などを組み合わせて考え、治療のあとは担当の歯科衛生士による定期的なメンテナンスにつないでいます。


入れ歯がずれる原因が支えの歯の歯周病や噛み合わせの変化にあれば、入れ歯を削るだけでは食べにくさが残るおそれがあります。そのため当院では、入れ歯だけの問題と決めつけず、残っている歯や歯ぐき、噛み合わせまで含めて確かめるようにしています。


「しばらく慣らして」と言われた後も、我慢を続けるべき?


我慢を続ける必要はありません。新しい入れ歯には慣れる期間がありますが、数年使ってきた入れ歯が最近ずれる、痛む、食べられる物が減ってきたという場合は、慣れの問題と決めつけずに再び相談してかまいません。


「一度調整してもらったから繰り返し頼みにくい」「我慢すれば合ってくる」と考えるかたもいます。けれどもお口の状態は少しずつ変わるため、調整は一度で終わるとは限りません。


入れ歯のずれや噛みにくさは、相談してよい困りごとです


当院では、歯を失ったかた、複数の歯を失ったかた、入れ歯が合わないかた、噛みにくさや見た目に悩むかたのご相談をお受けしています。お話をうかがうカウンセリングと、機器を用いた診査で今のお口の状態を確かめ、そのうえで進め方をご提案します。


痛む場所だけでなく、食べられなくなった料理も伝えましょう


当院では、歯だけでなく、噛む・食べる・話す・笑うといった働きや表情、毎日の暮らしやすさ、さらに体全体の健康まで見すえて診ています。


「夫と同じ肉料理を食べたい」「野菜を避けるようになった」といった生活の希望は、相談の出発点にしてかまいません。どの料理で困るかが分かると、どこに負担がかかっているかを考える手がかりになります。


歯ぐきの傷や強い痛み、食事量の減少は早めに相談する目安


次のような状態があれば、様子を見続けずに歯科医院へ連絡しましょう。


  • 歯ぐきの傷や口内炎がなかなか治らない
  • 噛むたびに痛み、食事を途中でやめてしまう
  • 食事中に入れ歯が外れる
  • 部分入れ歯が外れやすく、飲み込んでしまわないか心配
  • 食べられる物が減り、食事の量が落ちてきた

部分入れ歯が外れやすい状態は、誤飲事故につながるおそれがあるため、外れやすさに気づいた段階で、早めに相談しましょう。


ポイント

調整を受けたあとでも、ずれや痛みが続くなら再び相談してかまいません。お口は少しずつ変わるため、調整を重ねながら合わせていくものです。


歯科医院では、どんな調整をして作り直しかどうかを判断する?

歯科医院では、どんな調整をして作り直しかどうかを判断する?

歯科医院では、入れ歯が当たっているところや噛み合わせを確かめて調整し、それでよくならないときに修理や作り直しを考えます。どれになるかは、お口全体のようすを診てから決まります。


当たり方と噛み合わせを確かめて行う調整のおおまかな流れ


初診では、痛む場所やずれ方を聞いたうえで、入れ歯の内側が歯ぐきのどこに強く当たっているか、上下の噛み合わせの高さや位置、部分入れ歯のバネのかかり具合を確かめます。残っている歯のぐらつきや、歯ぐきの傷・腫れもあわせて確認するのが一般的な流れです。


当たりの強い部分は、確認用の材料で印をつけながら少しずつ削り、噛み合わせの高さも整えます。調整のあと歯ぐきが落ち着くまで数日かかることがあり、使ってみてから再度確かめる場合もあります。


調整で様子を見るか、修理や作り直しかの分かれ目


お口や入れ歯の状態検討されやすい対応
一部だけ強く当たる、噛み合わせがわずかに高い調整(当たる部分を削る、高さを整える)
内側と歯ぐきのすき間が大きい、バネがゆるい・折れた修理(内側に材料を足す裏打ち、バネの交換など)
支えの歯を失った、入れ歯が大きくすり減っている作り直しを含めて検討

同じ「ずれる」でも、原因は人によって異なります。どの対応になるかは、自己判断ではなく診察で決まります。


部分入れ歯で噛む機能にどこまで変化が出るかは、状態によって差があります1。お口の状態によっては、支えの歯の治療を先に行うこともあります。


なお、入れ歯を使い始めたときや、調整・作り直しのあとは、歯ぐきがこすれて痛んだり、赤くなったり、口内炎ができたりすることがあります。部分入れ歯では、バネをかける歯に負担がかかることもあるため、気になる変化は早めに伝えましょう。


インプラントを含む別の治療は、診察結果を踏まえて検討する


入れ歯に不満があっても、すぐに手術を前提にする必要はありません。お口の状態と、食べるときの困りごとを確かめてから選択肢を考える順序になります。


インプラントで支える入れ歯は、入れ歯のずれや外れやすさに悩むときの選択肢の一つですが、費用や手術の負担もあります。インプラントは原則として保険が使えない自由診療で、費用は医療機関ごとに異なります23。


手術をともなうため、あとから痛みや腫れ、感染が起こったり、神経を傷つけたりするおそれがあります2。長く使うには、毎日の手入れと、歯科医院での定期的な検診が欠かせません2。


院長の学会発表には、インプラントを希望された患者さんに、ご自身の別の歯を移す自家歯牙移植で対応した症例があります。個別の症例であり、どなたにも当てはまる方法ではありません。それでも、当院が初めから一つの治療に決めず、お口の状態から検討していることを示す一例です。


受診までの間、家族と同じ献立を食べやすくするには?

受診までの間、家族と同じ献立を食べやすくするには?

同じ料理でも、切り方とやわらかさ、噛み方を変えれば、歯ぐきへの負担を抑えながら食べやすくできます。入れ歯の人が絶対に食べられない物が決まっているわけではありませんが、極端に硬い物や粘る物は控えめにしましょう。入れ歯を自分で削ったり曲げたりするのは避け、安定剤は一時的な補助にとどめてください。


肉や野菜は小さく切り、やわらかく煮て同じ料理に近づける


家族と同じ料理から取り分け、自分の分だけしたごしらえを変えると、別の料理を作らずにすみます。肉は筋を切る向きにうすく切る、煮る時間を少しのばす、野菜は火を通してやわらかくする、といった工夫が取り入れやすいやり方です。煮た野菜や白身の魚、たまご料理、とうふも噛みやすい食べ物です。


ただし、みじん切りにしすぎると口の中でまとまりにくく、かえって飲み込みにくくなります。ひと口大か、それより少し小さめを目安にしましょう。


左右の奥歯で少しずつ噛み、硬い物や粘る物は控えめに


一口の量を減らし、食べ物を左右の奥歯に分けてゆっくり噛むと、入れ歯が片側に傾きにくくなります。前歯で噛み切ると入れ歯が浮きやすいため、先に包丁で切っておくと楽です。


餅やキャラメルなど粘りの強い物、せんべいのような極端に硬い物は、入れ歯が外れたり歯ぐきを傷めたりしやすいので控えめにしておきましょう。


自分で削る・曲げる、安定剤に頼り続けることを避けたい理由


入れ歯を自分で削ったりバネを曲げたりすると、当たりやずれがかえって強くなったり、元の形に戻せなくなったりするおそれがあります。


入れ歯安定剤は、総入れ歯の安定や噛む力を補う効果が研究で報告されています4。ただ、合わない状態を隠したまま使い続けると、歯ぐきの変化に気づきにくくなります。安定剤は受診までのつなぎと考えましょう。


お手入れでは、研磨剤入りの歯みがき粉で入れ歯を磨かないようにします。細かい傷がつき、そこから細菌が増えるおそれがあるためです5。


ポイント

切り方・やわらかさ・噛み方を変えれば、同じ献立に近づけられます。入れ歯そのものには手を加えず、歯科医院での調整につなげましょう。


予約するときは、何を伝えて費用や通院回数を確かめればよい?


まず電話で症状と通える日時を相談し、今使っている入れ歯を持って受診しましょう。費用や通院回数は状態によって変わるため、診察のときに見通しを尋ねると、仕事や家族の予定と合わせやすくなります。


受診前は電話で症状と通える日時を相談する


当院では、患者さん一人ひとりの診療時間とスタッフの勤務体制を確保するため、予約のない当日の急患対応は原則お受けしていません。痛みやずれが気になるときも、まずお電話でご相談いただき、診療できる日時をご案内しています。


勤務日や、ご家族の付き添いの予定を手元に用意しておくと、日程を決めやすくなります。当院には駐車場があり、診療時間の詳細はアクセスページでご確認いただけます。


予約時に伝えたい症状のメモと、持参したい入れ歯


  • いつから、どこが痛むか
  • ずれるのは食事中か、会話中か
  • 食べにくくなった料理
  • 入れ歯を作った時期と、以前の調整で言われたこと

受診の日は、今使っている入れ歯を忘れずに持参しましょう。


費用と通院回数は状態で変わるため、診察時に見通しを尋ねる


調整だけで済むか、修理や作り直しになるかは状態によって異なり、それに応じて費用や必要な日数・回数も変わります。保険診療の入れ歯は使える素材が決まっています。自由診療(自費診療)では金属の床や金属のバネを使わない素材などを選べる代わりに公的医療保険が適用されず、作り直しの条件やメンテナンスの扱いも異なります。


自由診療で入れ歯を新しく作るときは、型取り、噛み合わせの確認、試しの装着、できあがったあとの調整などを重ねて進めます。かかる期間や回数、費用は、つくりや素材によって大きく変わります。インプラントは原則として自費の治療なので、CTなどの検査から手術、上にかぶせる歯を作るまで、終わるまでにかかる費用の合計を前もって確かめておきましょう3。


実際にかかるお金や期間、通う回数は、歯科医院やお口の状態によって変わります。当院の費用は、診察のうえでご案内します。診察や調整、型取りのお金など何が含まれるか、何回くらい通うことになりそうかを、受診のときに尋ねておきましょう。


よくある質問


Q. 寝るときは入れ歯を外したほうがよいですか?


A. 就寝中は入れ歯を外して歯ぐきを休ませ、洗ってから水や洗浄剤につけて保管するよう勧められることが多いです。乾燥すると入れ歯が変形しやすくなります。ただ、残っている歯や噛み合わせの状態によって指示が変わることもあるため、外すかどうかは歯科医師にご確認ください。


Q. 部分入れ歯は食事のあと外してもいいですか?


A. 外してかまいません。バネをかけた歯のまわりには食べかすが残りやすいため、食後に外して入れ歯と残っている歯の両方をきれいにしてから付け直すと清潔に保てます。入れ歯を磨くときは、研磨剤入りの歯みがき粉を使わないようにしましょう5。


Q. 調整してもらった翌日に、また別の場所が痛くなりました。


A. 調整で当たり方が変わると、別の場所に力がかかることがあります。痛みを我慢して使い続けるより、外して休ませたうえで、どこが痛むかを伝えて再び相談しましょう。


Q. 入れ歯安定剤を使えば、受診しなくても大丈夫ですか?


A. 安定剤で一時的に使いやすくなることはありますが4、すき間ができた原因そのものは残ります。合わない状態が続くなら、受診までのつなぎとして使い、歯科医院で入れ歯とお口の状態を確かめてもらいましょう。


参考文献


1. Yaparathna N, Hettiarachchi RM, Tadakamadla SK, et al. Impact of Removable Partial Dentures on Masticatory Performance in Partial Edentulism: A Systematic Review. The International Journal of Prosthodontics (2024). PMID: 37729477 / DOI: 10.11607/ijp.8278

2. お口のなんでも相談「インプラント」|日本歯科医師会. https://www.jda.or.jp/consultation/vol-34.html

3. インプラント – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/lose/index19.html

4. Shu X, Fan Y, Lo ECM, et al. A systematic review and meta-analysis to evaluate the efficacy of denture adhesives. Journal of Dentistry (2021). PMID: 33727079 / DOI: 10.1016/j.jdent.2021.103638

5. 大垣市「清潔な入れ歯でなんでもおいしく食べよう!」 https://www.city.ogaki.lg.jp/0000020630.html


柴垣 博一

歯科医師


柴垣歯科医院

院長

柴垣 博一

▶ 監修者プロフィール

経歴
岐阜歯科大学 卒業
昭和大学歯学部解剖学講座 入局 博士(歯学)授与
資格・所属学会
日本歯科医療管理学会 理事長・認定医・指導医
(公社)日本口腔インプラント学会専門医・指導医・代議員
(公社)日本歯科先端技術研究所理事・認定医・指導医
AOS Japan(インプラント・スタディーグループ) 理事
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト
ITI Fellow.
日本顎咬合学会認定医
神奈川県小児歯科相談医
神奈川県障害者歯科医療担当医
綾瀬市介護認定審査委員
大和綾瀬歯科医師会 副会長
EAO Active Member
ITI Member