太っていないのにいびき?口周りの構造と気道が狭まる3つの原因|柴垣歯科医院|綾瀬市エリアの歯医者

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太っていないのにいびき?口周りの構造と気道が狭まる3つの原因

太っていないのにいびき?口周りの構造と気道が狭まる3つの原因

体型が変わっていないのにいびきが気になる方へ


「体重はほとんど変わっていないのに、家族からいびきを指摘された」。40代を迎えた頃から、こうしたご相談が増えてきます。いびきは体型だけで決まるものではありません。顎の形や舌の位置といった口周りの構造が関わっているケースも、決して珍しくないのです。この記事では、気道が狭まる3つの主な要因を解剖学的な視点から整理し、ご自身の状態を客観的に振り返る目安と、歯科医院で相談できる内容をお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 体重変化がなくても、顎の形や舌の位置などの構造がいびきに関わる場合がある
  • 気道が狭まる背景には下顎の形態、口周りの筋力低下、口呼吸の習慣などが考えられる
  • 舌の位置のセルフチェックや歯科医院での画像確認が、状態を把握する手がかりになる


いびきが発生する仕組みと口周りの解剖学的構造

いびきが発生する仕組みと口周りの解剖学的構造

いびきの音は、喉のどこかで空気の通り道が細くなり、そこを通る空気が周囲の粘膜を震わせることで生まれると説明されています。つまり音の正体は「狭くなった部分の振動音」。まずは、どの部位が関わっているのかを整理してみましょう。


軟口蓋や舌根が空気の通り道を塞ぐメカニズム


口を大きく開けたとき、上あごの奥にある柔らかい部分が軟口蓋、その中央から垂れ下がっているのが口蓋垂(のどちんこ)です。さらに奥へ進むと、舌の付け根にあたる舌根があり、その左右には扁桃が控えています。いずれも骨で支えられていない柔らかい組織なので、姿勢や筋肉の緊張度によって位置が変わります。


睡眠中は全身の筋肉が緩みます。仰向けで寝ると重力の影響で軟口蓋と舌根が喉の奥へ沈み込み、鼻から肺へ続く上気道が細くなっていく。狭い場所を空気が通れば流れは速くなり、圧が下がって周囲の粘膜が引き寄せられます。この繰り返しが振動となり、音として響くと考えられています。いびきは「気道が狭くなっているサイン」の一つとして捉える視点が大切です。


どこが狭まるかは人それぞれ。軟口蓋のあたりが主体の方もいれば、舌根が大きく関わる方、鼻の通りが影響している方もいます。パターンは一様ではありません。だからこそ対処を考えるときも、どの部位が関わっていそうかを推測する視点が役立ちます。


「肥満だけがいびきの原因」という誤解と痩せ型の盲点


いびきといえば肥満、というイメージは広く浸透しています。首まわりに脂肪がつくと外側から気道が圧迫されやすく、体重増加が関わる場合はあるでしょう。ただ、それだけが要因というわけではありません。


体型に大きな変化がない方でも、もともと顎が小さい、下顎が後ろ寄りにある、舌が大きめ——こうした条件が重なれば気道のゆとりは少なくなります。骨格という「器」の大きさに対して、舌などの「中身」が収まりきらない状態。そうイメージすると分かりやすいかもしれません。日本人は欧米の人々よりも顎が小さい傾向にあると指摘されており、標準体型でもいびきが起こりやすい背景があると考えられています。


さらに飲酒は筋肉の緩みを強めるとされ、鼻づまりがあれば口呼吸に傾きやすくなります。加齢による筋力の変化も見過ごせません。体重が増えていないからいびきとは無関係、と決めつけずに、口周りの構造や習慣という別の切り口から見直してみてはいかがでしょうか。


口周りの構造から見る気道が狭まる3つの主な原因

口周りの構造から見る気道が狭まる3つの主な原因

ここからは、体型の変化が小さい方にも当てはまりやすい構造的な要因を3つに分けて見ていきます。単独ではなく、複数が絡み合っているケースも珍しくありません。


原因1:下顎の後退や小ささによる舌の収容スペース不足


舌は下顎に付着しています。ですから下顎が小さい、あるいは後方に位置している骨格では、舌が納まるスペースそのものが限られてしまいます。起きている間は筋肉が働いて舌の位置が保たれますが、就寝中は支えが弱まり、舌が後方へ移動しやすくなると考えられています。


横顔で下唇より下顎の先端が引っ込んでいる、噛み合わせが深い、下の前歯が内側に倒れている。こうした特徴は、下顎の位置と関係している場合があります。歯並びが窮屈で歯が重なっている方も、顎の大きさに対して歯列のスペースが足りていない状態といえるでしょう。顎の骨格はご自身では判断しにくいため、横顔の写真やレントゲンなど客観的な資料で確認する方法が現実的です。


原因2:口輪筋や舌筋の衰えによる睡眠時の舌根沈下


口元を取り囲む口輪筋、舌を形づくる舌筋、そして喉の奥にある咽頭の筋肉。いずれも加齢や使用頻度の低下によって張りが失われていくとされています。会話が減った、柔らかい食事が中心になった——そんな生活の変化も影響するでしょう。


口周りの筋力が落ちると、就寝中の筋弛緩と相まって舌根が下がりやすくなります。日中に口が半開きになりがち、口角が下がってきた、飲み込むときにむせやすい。こうした変化は、口腔周囲の筋機能を見直すきっかけになります。40代以降、体重は変わらないのにいびきの指摘が増えるという流れには、この筋力の変化が関わっている可能性も考えられます。


原因3:口呼吸の習慣と低位舌による喉奥の圧迫


本来、舌は上あごに軽く触れた位置に収まっているとされます。ところが口呼吸が習慣になると、空気の通り道を確保しようと舌が下がり、下の歯の内側に落ち着いてしまう。これが低位舌と呼ばれる状態です。この位置では舌全体が喉に近づくため、気道のゆとりが減りやすくなります。


また、口を開けて寝ると下顎が後ろへ落ち、舌根はさらに沈み込みやすくなります。鼻づまりや花粉症、鼻の構造的な特徴で鼻呼吸がしづらい方は、口呼吸に傾きやすい点に注意が必要です。鼻の症状が続く場合は、耳鼻いんこう科での確認も選択肢になります。鼻呼吸を保てているかどうかは、いびきを考えるうえで見落とされやすい視点です。


口周りの状態をセルフチェックする方法と日常の工夫


専門的な検査を受ける前に、ご自身で確認できるポイントもあります。日々の観察が、そのまま相談時の材料にもなります。


舌の本来の位置「スポット」とセルフチェックの目安


上の前歯の裏側から少し奥へ進んだあたりに、わずかな膨らみがあります。ここが舌先の定位置とされる「スポット」です。口を閉じて力を抜いたとき、舌先が自然にこの場所へ触れ、舌の広い部分が上あごに沿っていれば、おおむね良好な状態と考えられています。


反対に、舌先がどこにも触れていない、下の前歯の裏に当たっている、舌の縁に歯の形の跡がついている。こうした場合は舌の位置が下がっている可能性があります。あわせて、朝起きたときに口の中が乾いている、喉に違和感がある、日中に無意識で口が開いている、といった点も振り返ってみてください。当てはまる項目が多いほど、口周りの構造や習慣がいびきに関わっている可能性を考える手がかりになります。


口周りや舌の筋肉を維持するための口腔筋機能トレーニング


舌や口周りの筋肉は、意識して動かすことで働きを保ちやすくなるといわれます。よく紹介されているのが「あ・い・う・べ」と大きく口を動かす体操。「べ」で舌を下に思い切り伸ばす動きが、舌の筋肉に働きかけます。1日30回程度を目安に、無理のない範囲で続けてみましょう。


ほかにも、舌先をスポットに当てて上あごへ押し付ける動作、舌で上あごをはじいて音を鳴らす動作、ゆっくり唾を飲み込む嚥下の練習などが、口腔周囲の筋機能を意識するうえで役立つとされています。ただし、あごに痛みがある方や顎関節に不調を感じる方は、自己流で強く行わないでください。変化の程度には個人差があり、これだけでいびきがなくなると言えるものでもありません。あくまで日常のケアとして、構造の確認と併せて取り組む位置づけでお考えいただければと思います。


口周りの構造的な問題に対して歯科医院で相談できること


「専門外来はハードルが高い」と感じる方は少なくありません。まずは普段通える歯科医院で、口周りの形態や噛み合わせという切り口から確認していく方法があります。


セファロや歯科用CTによる骨格・歯並びの客観的な把握


横顔の骨格を規格化して撮影するセファロ(頭部X線規格写真)では、上下の顎の前後的な位置関係、下顎の傾き、気道周囲の形態の傾向を把握しやすくなります。歯科用CTを併用すれば、顎の骨や上気道周辺の形を三次元的に確認することも可能です。


当院では歯科用CTやセファロ、iTeroやTRIOSといった口腔内スキャナーを導入し、顎骨や歯列、噛み合わせを三次元的に把握したうえで診断と治療方針の策定を行っています。ご自身の顎の形を画像で見ていただくと、これまで漠然としていた気がかりが整理されやすくなるものです。まずは現状を客観的な資料で確認する。これが判断の出発点になります。


就寝時の下顎位置を安定させる口腔内装置(マウスピース)


歯科医院で扱う選択肢の一つが、就寝中に下顎を前方寄りで保つ口腔内装置(スリープスプリント)です。下顎を支えることで舌根が後方へ沈み込みにくい状態をつくり、気道のゆとりを保つことを目的としています。


睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には、医科からの診療情報提供に基づいて保険適用となることがあります。装置の適応は歯の本数や顎関節の状態、症状の程度によって変わるため、事前の診査が前提です。装置による変化や適応には個人差がありますので、まずはご相談のうえで一緒に判断していきましょう。また、装置を使い始めた後も、噛み合わせや装置の状態を定期的に確認していくことが欠かせません。当院は「歯の健康から口腔の健康へそして全身の健康へ」という考えを大切にしており、いびきや噛み合わせに関するご相談もお受けしています。気になった段階でお声がけください。


よくある質問


Q. 口は閉じているのに、いびきの音が大きいのはなぜでしょうか。


A. 口を閉じていても、喉の奥で軟口蓋や舌根が沈み込めば気道は狭くなります。また鼻の通りが悪いと、鼻腔や鼻の奥で空気の流れが乱れて音が出ることもあります。口を閉じる工夫だけでは音が変わらない場合、狭くなっている場所が喉の奥や鼻側にある可能性も考えられます。


Q. 鼻からのいびきと口からのいびきは、どのように見分けますか。


A. 起床時に口の中が乾いている、家族から口が開いていたと言われる。こうした場合は口呼吸が関わっていることが多いとされます。一方、鼻づまりの自覚があり日中も鼻声になりやすい方は、鼻側の要因が関わることがあります。ただし両方が混在するケースもあり、自己判断は難しいため、専門的な確認をおすすめします。


Q. 女性でもいびきをかく方はいますか。


A. いびきは男性に多い傾向が報告されていますが、女性にも見られます。ホルモンバランスの変化や骨格の違いが関係すると考えられており、年齢が上がるにつれて割合が近づく傾向も指摘されています。性別を問わず、気になる場合はご相談いただける内容です。


Q. いびき対策として口周りを鍛えるのは意味がありますか。


A. 舌や口周りの筋機能を保つ取り組みは、口呼吸や舌の位置を見直すきっかけとして意義があると考えられています。ただし変化の程度には個人差があり、骨格が主な要因の場合は体操だけでは変わりにくいこともあります。並行して構造の確認を行うとよいでしょう。


Q. 息が止まっているように見えると言われました。どう考えればよいですか。


A. 呼吸が止まって見える状態を家族から指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて医療機関での確認が望まれます。歯科医院では口周りの形態や噛み合わせの確認を行い、必要に応じて医科と連携しながら対応を検討します。


柴垣 博一

歯科医師


柴垣歯科医院

院長

柴垣 博一

▶ 監修者プロフィール

経歴
岐阜歯科大学 卒業
昭和大学歯学部解剖学講座 入局 博士(歯学)授与
資格・所属学会
日本歯科医療管理学会 理事長・認定医・指導医
(公社)日本口腔インプラント学会専門医・指導医・代議員
(公社)日本歯科先端技術研究所理事・認定医・指導医
AOS Japan(インプラント・スタディーグループ) 理事
ITI日本支部公認インプラントスペシャリスト
ITI Fellow.
日本顎咬合学会認定医
神奈川県小児歯科相談医
神奈川県障害者歯科医療担当医
綾瀬市介護認定審査委員
大和綾瀬歯科医師会 副会長
EAO Active Member
ITI Member